敷金償却(敷引特約)とはなんですか?

事業用賃貸

敷金償却とは、字のごとく「敷金を償却する」ということで、敷金とは根本的に意味が異なります。

敷引特約と言われたりもしますが、
その法的性格は、いろいろな説明がなされていますがその償却相当分は、実質的に礼金(あるいは権利金)の性格をもつと解する見解が有力となっています。
簡単にいいますと 「預かった敷金の一部は戻らない」という性質を持ち、退去時に返却されることはない、ということになります。

さらにつっこんでいきますと、
「原状回復はその敷金の償却によって精算されるのではないか」と疑問に思う人がいるかもしれません。

原状回復には「借主の故意・過失によるもの」「通常損耗等によるもの」と大きく2つに分けることができます。
敷金償却は、実質的には礼金の性格が有力なため、そう判断されればどちらにも該当しないことになります。

そのため契約時に明確にしておきませんと後々トラブルの原因になり兼ねません。

また、居住用賃貸は消費者契約法が適用され敷金償却は高額過ぎれば(※)無効であるという議論もあります。
※敷金償却と礼金など他の支払いも合計して家賃2ヵ月分~3.5ヵ月分であれば有効とした判例があるためひとつの目安となります。
ですが、事業用賃貸はその適用外のため、こういった議論にはあたりません。

いずれにしても敷金償却がある際は契約時に明確に契約書に内容を明記し認識しておくことが重要です。